新しい朝を

昔は朝が来なければ良いとか、そんな風にしか考える事ができなかった。

自分の事がとても嫌いだったし、人の悲しみなど考えることはできなかった。
目の前がただ真っ暗で、本当に真っ暗で。



それから色々な事があった。
嬉しい事も、悲しい事も。

大切な人がいなくなって、悲しそうな顔をしている人を見るのはとても辛い。

当たり前にそこにいて、明日話そうと思っていた会話はもうする事はできない。

小さなたわいもない記憶が本当に大切な思い出になり、悲しみに胸をつぶされる。


悲しみに泣き崩れる人を見て、浮かび上がるのは自分の闇の小ささだけだ。


自分の闇など本当に小さなものだと。

大切な人達の悲しい顔を見るより、自分の小さな闇を押し殺して生きる方がずっといい。

子供の時みたいに明日の朝を楽しみに待つことはできないけど、明日が良い日になれば良いなと思える。